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◎ 2012年12月27日 (木) 世界の銀行はEUに至急大規模融資をすべき

EUには、高い技術力を持つ先進国が多いから、独力で国債危機を乗り越えられると、高をくくっていたために気付かなかったのだが、現在、かなり危機的な状態にあるらしい。
と言うのも、これまで、中東の事業案件への融資はEUの銀行が独占していたのを今年になって日本の銀行が行っているからである。
例えば、サウジアラビアの空港工事やトルコの海底トンネル工事である。
これらは、公共事業であり、将来の利益がほぼ確実に保証されている大きな案件にも拘らず、EUの銀行は全く融資が出来ないほど危機的な状況にある。
これは、EUの銀行には預金残高がほとんどなく、日本の銀行には余力が十分あることを示している。
この状況は、日本の国際関係にとって致命的な悪影響を及ぼす。
なぜなら、EUが死ぬか生きるかのぎりぎりの状態にある中で、日本の銀行は、助けるどころか彼らの仕事を奪い取り、傷口に塩を塗りつけているからである。
中国は、EUの危機に対し、多額の融資を行ったが、日本は一切融資しないだけではなく、手ひどい仕打ちをしているのである。
これでは、EUは中国は友好国だが、日本は敵国だと考えるのが自然である。
現在、EUから逃げた世界のカネが集まっている日本とアメリカの銀行は、EUへ大至急それぞれ合わせて数兆円規模の無償融資を行うべきである。
他の国も余力があれば、融資すべきである。
そうしなければ、国際関係は致命傷を受けるだろう。




◎ 2012年12月30日 (日) 金融政策・特許廃止

柳沢元金融相は、現在の金融政策は、中小企業に甘いと言っているらしい。
中小企業金融円滑化法を三年続けても業績が上がらない企業が全国に5万社ほどあるらしい。
銀行には日銀の量的緩和によって財源は豊富にある。
日経新聞は、倒産が増えるとその取引先にも影響が出て経済が冷え込むと書いている。
しかし、倒産すべき企業が生き残ると色々な面で経済活性化の妨げになるという考え方もあるだろう。
例えば、銀行は回収見込みの無い融資で不良債権が増えるし、無駄に人材が使われる事で他業種の人材不足を招いたり、倒産しかけの企業の労働環境も人間関係も酷いものである。
倒産した企業の社員は、スキルに乏しいために再就職先を探すのは困難である。長年培ったスキルが他業種では通用しない事もあるからである。例えば、水産系業者は、水産系企業でしか働けないだろう。飛行機のパイロットも他業種への再就職は難しいに違いない。
倒産を認める社会は、失業しても生活できる社会でなくてはならない。
現実として、いつ、再就職できるか見通しなど全く立たないからである。
それには、以前にも書いたように、量的緩和のカネは、公共事業や銀行に回すよりも、生活保護費や実存主義社会などの人間が必要最低限の生活ができる環境のための財源にすべきである。

データ圧縮と特許(http://oku.edu.mie-u.ac.jp/~okumura/compression/patents.html)
によると、LZ77 アルゴリズムによる圧縮の高速化にハッシュという技法を使うアルゴリズムの特許をスタック社が持っていたらしい。奥村教授の説明では、ハッシュは高速化の技法としてありふれたものではないとある。高速化しない LZ77 と高速化された LZ77 は使い勝手が全く異なり、使わずに実用化するのは現実的ではない。となると、基本的に高速化は、せざるを得ない。フリーソフトの LHA なども LZ77 にハッシュを使っているらしいのだが、ハッシュの方法が違うため違法ではないとしているらしいのだが、富士通の見解では、LZ77 にハッシュを使った時点で違法かもしれないとしているらしい。富士通は基本的にハードウェアの会社であり、ソフトウェアだけでなくハードウェアの特許にも詳しいはずである。その総合的な特許知識の判断でそう結論したというのは、フリーウェア潰しの企業戦略でないとすれば重要ではないだろうか。特許の無いありふれた技術を既存技術に追加しただけで特許が取れてしまうとしたら大問題である。しかし、そうでないとしたら、LZ77 にハッシュを使ったソフトウェアが多数ある中で、スタック社の特許はほとんど意味を成さないだろう。

知的所有権の法律には、大雑把に三種類あり、法的威力の大きい順に、特許権、実用新案権、著作権がある。(他にも、意匠権や商標権などがある)
アイデアが特許権を得るには、特許庁にそのアイデアを届け出て、特許庁がそのアイデアの斬新さを認める審査にパスしなくてはならない。実用新案は、特許よりもこの審査基準が甘いために、特許が取れなかったときの逃げ道の扱いになっている。著作権は、著作物が完成した時点で適用され、どこにも届け出る必要はない。
つまり、名目上、特許には、厳しい審査があるはずなのだが、現実には、この審査は激甘で存在しないのと同じなのである。
それは、特許権を法律として運用する事は現実としてできない事を露呈しているのである。
例えば、1つの特許を取るのに多額の費用がかかり、大企業だけが有利になる。
現実に機能できない法律を存在させる事は、ソフトウェアに限らず、ハードウェアにおいても認められないとするのが、俺の見解である。
では、審査基準を厳しくすれば良いと考えるのは甘い考え方である。なぜなら、元々、そのつもりで作られた法律であり、現実にそれが遵守されなかったからである。スタック社のこの特許は、日本だけでなく、アメリカでも認められている。世界中の特許権は廃止すべきである。

因みに、LZ77 の高速化技術の特許のほとんどは、スタック社の物も含めて期限切れで失効しているらしい。




◎ 2012年1月1日 (火) 凍死・行政予想

ロシアでは、25日までに寒波でモスクワで氷点下26度、シベリアで氷点下60度まで冷え込み、少なくとも123人が死亡、800人以上が入院したそうである。死亡した人々の多くはホームレスで、そんな気温で屋外に放置されているのは許されない事である。と言っても、日本でも状況は全く同じで、去年は、真冬にホームレスが寒さを凌ぐために車を盗難する事件があった。数年前には、駅の植え込みで凍死したホームレスもいた。去年も今年も例年以上に寒い。
ロシアであれば、共産主義社会の時は、そんな状況になる事はなかったと言えるのだが、日本では、ほんのわずかの可能性すらない。

自民党政権が誕生したわけだが、とりあえず、経済面だけで予想すると、財政による無駄な出費は増大し、その財源は増税になるだろう。脱原発は取りやめになり、稼動を始めるだろう。これらは、国民が望んだ事であり、それを自民党がマニフェストに盛り込んだに過ぎない。自民党のマニフェストは、大衆迎合主義の結果であり、国民の絶大な支持を得るのは当然だったのである。しかし、そんなものでやっていけるわけがない。

たとえ、社会状況がどうなろうとも、道理は捨てるべきではないと言っても、この世に道理があった試しは無い。




◎ 2012年1月2日 (水) 偽書の意味

偽書
@本物ににせて書いた手紙。にせてがみ。
Aにせて作った書籍。
B内容を仮託して作った書物。

正史
@正式の歴史。国家が編纂した正式の歴史書。
A紀伝体による中国の歴史書。

私史(しし)・・・個人的立場で書かれた歴史書。公的に編纂された正史以外の歴史書。野史(やし)。私乗。

史実・・・歴史上の事実。

国学
@(A)中国の夏・殷・周の制で、国都もしくは諸侯の居城の地に設けた学校。
 (B)国子学・国子監をいう。
A律令制で、国ごとに設け、郡司の子弟に主として経学を教授した学校。 大学。
B古事記・日本書紀・万葉集などの古典の、主として文献学的研究に基づいて、特に儒教・仏教渡来以前における日本固有の文化および精神を明らかにしようとする学問。近世学術の発達と国家意識の勃興に伴って起り、荷田春満・賀茂真淵・本居宣長・平田篤胤(国学の四大人)とその門流によって確立された。古学。皇学。くにつまなび。 漢学。

尊王論・・・天皇の権威を強調する思想。江戸中期以降、主に水戸学や国学者・神道家により唱えられた。初めは身分秩序の頂点である天皇の権威を高めることで幕藩体制の安定をはかる意味があったが、幕末には幕政批判の思想的根拠として機能するようになった。

日経新聞(12/22)に古事記は偽書の可能性があると書かれているのだが、この記事の文脈からすると、偽書の意味は、天皇のお墨付きをもらっていない書物という事に思われる。古事記が偽書である理由として、史書「続日本記」に編纂の事実が記載されていないとあるからである。それに引き換え、日本書紀は正史だとある。ただし、日本書紀が正史である理由は書かれていない。江戸時代の賀茂真淵も古事記が偽書の可能性があると指摘しているとも書いてあるのだが、賀茂の指摘する偽書が、オリジナルに対する偽書なのか、天皇のお墨付きをもらっていない意味の偽書なのかも検証されていない。
この記者は、根本的に偽書の意味を間違えて、混同して説明しているのかもしれない。

仮に、この記者の言うとおり、日本書紀は、天武天皇が命じて作らせたが、古事記は、天皇非公認の書物であるとしよう。しかし、日本書紀が、天皇のお墨付きを貰った正史であるとしても、その内容を裏付ける事実が何も無い以上、日本書紀の内容が事実であると認める事はできない。これは、キリスト教における天国、地獄の実在同様に全く確かめようのない事である。空想と事実を混同しないようにすべきである。正史を史実と認めてしまうと、あらゆる人間は空想(妄想)の世界で生きている事になる。テレビアニメを現実と思い込むのと同じである。

江戸時代には、国学者という職業の人々がいて、彼らは、記紀を研究し、その内容を史実だと思い込んでいたが、現在ではそんな職業の人々は一人もいない。マルクスは社会主義革命の基礎となる社会理論を構築したが、国学者達は明治維新に倒幕の原動力となった尊王運動の社会理論を構築した。国学者の言う事を真に受けるのは愚か者である。




◎ 2013年1月4日 (金) 明治維新

水戸学・・・江戸時代、水戸藩で興隆した学派。国学・史学・神道を基幹とした国家意識を特色とし、藩主徳川光圀の「大日本史」編纂に由来するが、特色ある学風を形成したのは寛政(1789〜1801)年間以降。尊王攘夷運動に大きな影響を与えた。

公武合体・・・幕末、従来の幕府独裁政治を修正し、天皇と幕府とを一体化させることで幕藩体制を再編強化しようとした政治路線。尊王攘夷運動と対立。桜田門外の変後、幕府内では安藤信正ら、雄藩では薩摩藩など様々な勢力が主張した。

攘夷論・・・幕末に台頭した、外国を排撃し鎖国を主張する議論。儒教の中華思想に由来し、尊王論と合流した尊王攘夷論として大きな力をふるった。

中華・・・中国で、漢民族が、周囲の文化的におくれた各民族(東夷・西戎・南蛮・北狄)に対して、自らを世界の中央に位置する文化国家であるという意識をもって呼んだ自称。中夏。

孝明天皇・・・江戸末期の天皇。仁孝天皇の第4皇子。名は統仁(おさひと)。熙宮(ひろのみや)。攘夷と公武合体を支持し、皇妹和宮の降嫁を容認。慶応2年12月25日病死。(在位1846〜1866)(1831〜1866)

明治維新をまとめると、徳川家には、三家三卿があって、三家の1つの水戸家を除く五家から将軍が選ばれていた。水戸家は代々副将軍職に就いていた。そのため、江戸幕府においては、三家三卿の影響力が大きかった。
大奥と三家の1つの紀州家が、大老の井伊直弼を支持しており、このグループは、江戸幕府の保守勢力であり、幕政改革は認めていなかった。アメリカから開国を迫られ、直弼は断るとインドや中国みたいになるかもしれないと考え、朝廷の許可無く通商条約を結んだ。孝明天皇は開国に反対していた。

水戸家は、初代水戸光圀の頃から既に国学志向の家系だったらしい。代を重ねるにつれ、益々、国学に傾倒していった水戸藩は、水戸学を形成するにまで至った。幕末の水戸藩主・徳川斉昭は、尊王攘夷論者で幕政改革主義者であった。三卿の1つの一橋家も改革派で守旧派の井伊直弼と対立していた。ただし、三家の対立は基本的に幕政改革だけで、開国には多少とも理解を示し、公武合体実現にも共に尽力していた。

当時は、京都を中心に尊王攘夷運動が活発だったり、弾圧されて沈静化したりしていた。
こちらの尊王論者の目的は、公武合体ではなく、幕政批判や倒幕だった。
朝廷も尊攘派(倒幕派)と公武合体派に分かれていた。
藩主の父の島津久光や藩主の山内容堂などが幕府の中心で公武合体実現に骨を折っていたにも拘らず、薩摩藩士・西郷隆盛や土佐藩士・坂本竜馬や長州藩士・高杉晋作などは藩主を裏切って、薩摩藩や長州藩の実権を握り、倒幕勢力の中心となった。当然、その後の久光や容堂の影は薄くなる。

岩倉具視は、最初は公武合体派だったが、幕府の低迷を見て、後に倒幕派になる。
孝明天皇病死後、幼い明治天皇になってからの朝廷の主導権は平公家ではありながら当代随一の策士である彼が握っていた。
孝明天皇崩御から1年後、彼は王政復古のクーデターを起こす。
尊王攘夷運動で天皇の権威が著しく増大している中、その権威を利用して、彼は薩長討幕軍内でも大きな発言力を持っていた。明治維新は、次々と権力が移り変わるが、明治維新全体を通して、大きな権力を維持できたのは彼ぐらいのものである。

徳川慶喜は、水戸家出身だから本来、将軍にはなれないのだが、一橋家に養子に入る事で将軍になった。慶喜は、徳川斉昭の息子でありながら、尊王攘夷論者ではなく、開国主義者だった。彼は改革で幕政を立て直すつもりでいたが、間に合わなかった。戊辰戦争に敗れた後、勝海舟の仲介で江戸を無血開城する。

岩倉具視は、権力を握るだけでなく、廃藩置県によって中央集権体制を確立した。彼は、他にも西郷隆盛の征韓勅許を謀略で阻んだり、明治維新は、ほとんど独擅場(どくせんじょう)である。彼に強敵と言わしめたのは冴えた改革手腕を見せた徳川慶喜くらいだろう。しかし、倒幕による兵力増大と中央集権によって可能になった富国強兵策の結果、軍隊をもてあまし、彼の死後、日清・日露・世界大戦と繋がった。ここから学ぶべき事は、軍事力は増強すべきではないという事である。




◎ 2013年1月5日 (土) 関税の意義

安政の仮条約・・・江戸幕府が、安政5年6月(1858年7月)勅許を待たないで、米・蘭・露・英・仏の5ヵ国との間に、仮に結んだ通商条約。箱館・神奈川・長崎・新潟・兵庫の5港の開港を約した。安政の五ヵ国条約。

条約改正・・・幕末に幕府が欧米諸国と結んだ不平等条約の改正。その中心は治外法権の撤廃と関税自主権の回復にあった。明治初年以来、たびたび試みられたが挫折を繰り返し、1894年(明治27)の日英通商航海条約で治外法権を撤廃し、1911年には他の国とも関税自主権の回復に成功。

国富
@国家の富力。国全体の富。一国の経済力。
A国民のあらゆる経済活動によって蓄積されてきた再生産可能な有形資産の総額。

井伊直弼が諸外国と通商条約を結んだ結果、日本国内の物価が上昇し、国民の生活が苦しくなった。
原因は、関税自主権がないために、外国の言うがままに低い関税率になってしまったからである。
例えば、イギリスは産業革命で綿製品などが機械によって低コストで大量生産できるようになったが、綿製品の関税率は5%だった。
日本は代わりに生糸などを外国に輸出していた。輸入量よりも輸出量の方が多かったために、国内が全般的に品薄状態になって、物価の上昇を招いたのだろう。輸出量が輸入量よりも多かったのは、日米間の経済競争力の差が大きかったためである。輸出が多くて輸入が少なければ、その国の貿易収支は黒字になって文句なしではないかと言われると全くその通りなのだが、それは金額の場合である。物量となると話は逆になる。例えば、加工貿易の場合、原料は輸入し、生産物は輸出するため、生産に使われなかった原料や輸出しなかった生産物が残るから、貿易によって国内の物資は増える。しかし、国内で原料を生産し加工した低料金の輸出物は、高い技術で生産された輸入物よりも多くの量になる。例えば、東南アジアから大量の農産物を日本は輸入しても、日本から東南アジアへは数台の自動車を輸出するだけになる。こうなると、東南アジアでは農産物が市場から消え、農産物の価格が上昇する事になる。そうなってしまうのは、農産物と自動車では単価が全く違うからである。輸出量、輸入量と言うよりは、貿易によって国富がどう増減するかを考えた方が分かりやすいだろう。国富が増えると市場に物が増え、物価が下がり、国富が減ると市場から物が消え、物価が上昇するのである。あらゆる国家は、国富が減らないように貿易しなくてはならないのである。その最も分かりやすい指標が、貿易収支である。貿易収支が赤字にならないようにするには輸入額を減らさなくてはならない。輸入額を減らす最も手っ取り早い方法が関税である。

インフレも攘夷派を勢いづかせる結果になった。
井伊直弼は、条約反対派を安政の大獄で弾圧し、その報復として桜田門外の変で暗殺される事になった。
その後、国内のインフレに苦しんだ明治政府は、諸外国との条約改正に腐心する事になる。
経済競争力の差が大きい国家間の貿易で、関税を撤廃する事がいかに危険な事かは、この事から分かる。
岩倉具視は、明治4年に条約改正準備のため使節団を率い米欧を回った。おそらく、インフレの原因が関税自主権がない事にあると気付いたのは彼だろう。




◎ 2013年1月6日 (日) 物価の決まり方

商品の値段は、通常、コストでは決まらない。需給のバランスのみで決まる。需要よりも供給の方が大きい場合は安くなる。これがデフレである。逆はインフレである。消費者は品質が同じなら最も安い商品を選ぶから、寡占市場でカルテルを組まれても物価は上がる。もしコストと同じ価格でも消費者が買わない場合は、その商品は市場から消え去るのみである。逆にどんなにコストが低くても消費者が買うなら極めて高い値段設定も可能である。芸術品がその一例である。例外もある。例えば、電力会社やガス会社などは法律で、常にコストよりも高い値段設定が許されている。そのため、天然ガスの輸入契約は20年単位になっているらしい。常に一定の値段で電力やガスを供給するための配慮だが、常にコストと戦っている他の業種からは信じられないような状態である。他の業種も常に同じ値段での安定供給を目指しているはずだが、甘い国会と政策のせいで、この始末である。
日経新聞(2013/1/9)には、『プラントの建設に多額の資金が必要なLNG(液化天然ガス)は貿易で資金の回収を優先するため、産出国と日本企業は通常、20年程度の長期契約を結ぶ。数ヶ月先が主流の原油や金とは時間の感覚が異なる』とあるのだが、資金の回収目的で20年契約になるはずがない。また、この記事のとおり、20年契約で安く輸入できるなら原油も20年契約になるはずである。明らかに日経新聞の記事は矛盾している。俺の書いた内容は理にかなっているが、日経新聞の記事は理にかなっていない。日経新聞は読者を欺いている。また、『数ヶ月先が主流の原油』とあるが、電力会社やガス会社も原油は20年単位ではなく、数ヶ月単位で輸入しているのか?書き方があいまいで実に疑わしい。日経新聞の経済関連や社説の記事には気違いじみたものが多いから俺は基本的に読み飛ばす。読むのはもっぱら国際面と本の広告と文化面である。つまり、ほとんど読み飛ばす。ただし、文化面は良く出来ている。特に今年に入って内容が更に良い。交友抄と展覧会案内以外は、どのコラムも単行本にして構わない。

日本企業はどんどん海外に移転すべきである。国内が空洞化するなら働き手も一緒に海外に行けば良い。外国の安い賃金で働けるものか。そのためのグローバル化だ。外国の賃金も日本並みになれば良い。生産のオートメーション化によって働かなくても供給量が維持される時代になった事も忘れてはならない。そういう時代には財の分配方法が問題となる。
経済の目的が、生産物を満遍なく世界中に行き渡らせる事と財の配分であるならば、物資やカネが余っている国から足りない国へ送る仕組みについて考える時代だろう。これが世界共産主義だ。例えば、完全オートメーション化時代には社長以外は総て失業者である。現在は、それに近い状態にあることを認識すべきである。現在、社会は極めて馬鹿げた状態にある。それとも世界中の工場を皆で破壊して回るか?その後は、もちろん、工場制手工業だ。選択の余地はない。

俺は日本国籍を捨てて外国籍が欲しいのだが、そういう日本人は、他にも大勢いるのではないだろうか?
日本にいても、日本国民から集団リンチを食らうだけで、やる事がなく、日本人を必要としている国はないものだろうか?
日本人は、いらんがカネだけくれという国だけか?尤もな意見にも聞こえるが、そういう国は永久に成長のない国である。俺としてもこの生活が嫌で出て行きたいわけではない。そんな国しかないなら、一生、日本人でも差し支えない。世界でどんなに悲惨な事態があったとしても、それはその国自身が望んだ事と判断するだけである。俺みたいに考える日本人も大勢いるに違いない。ただし、自爆テロ要員が足らんというのは勘弁してくれ。何人でも欲しいに違いないが。




◎ 2012年1月6日 (日) 理論どおりにならない理由

弟がペットボトルを回しながら水を出すと速く出ると言ったときに、そんなわけがないと俺は言った。
水が下に落ちる速度は、重力で一定のはずだし、回したくらいでは重力に変化が生じるはずがない。
また、容器の内圧が小さいと液体が出にくいという理論は、容器の上部にもう1つ小さい穴を開けると速く落ちるという事から知っていたのだが、容器を回したぐらいでは液体が邪魔をして空気は中に入らないと思ったからである。
しかし、新聞でも同じ事を書いてあったから試しに回してみると速く落ちるし、新聞の説明では回すときに空気が中に入って内圧が元に戻るからだとなっていた。
現実は考えたとおりにはならない事がある。実際に試してみるまで理論は信用できない物である。




◎ 2012年1月10日 (木) 戦争と文壇

焚書(ふんしょ)・・・書籍を焼きすてること。学問・思想圧迫の手段として行われた。

焚書坑儒・・・秦の始皇帝が前213年、民間に蔵する医薬・ボクゼイ・農業関係以外の書をすべて集めて焼き捨て、翌年咸陽で数百人の儒者を坑(あな)に埋めて殺したこと。

文壇・・・作家・文芸批評家たちの社会。文学者の社会。文学界。

明治・大正・昭和初期の頃には、文壇があったらしく、その重鎮もいたらしい。
志賀直哉も重鎮だった頃があったらしいのだが、文壇は反体制的な小説には厳しい態度をとっていたようである。
志賀は、名家の出身だったらしい。恐らく親などからは大きな反対があって、それを押し切って作家になったのだろう。
芥川龍之介は、比較的反体制的な事も遺作には書いているのだが、生前は戦地に文壇と共に慰安に出向かされていた。
志賀は芥川には面識があったらしいのだが、体制に対して無頓着な芥川に文句の1つも言ったかもしれない。
名前は忘れたのだが、昭和初期の戦争前に軍の将校から戯曲脚本家になった人がいて、その人も戯曲は思想とは無関係でナンセンスなものだと言っていたらしい。しかし、戦争が近づくと自ら進んで体制を支持するような戯曲を書いたらしい。
作家が過去の戦争について触れるようになった現在も、そういう時代に近づいているのだろう。




◎ 2013年1月12日 (土) 気違い大国

日経新聞(1/9)
『「暴動の真相は分からない。だが、経営側の毅然とした態度が重要だと改めて学んだ」。スズキ会長兼社長の鈴木修(82)は語る。
 インド最大の自動車メーカーとなり、アジア進出の成功例とされるスズキ。だが12年7月に北部にある子会社の主力工場で従業員の暴動が起き、死者1人を出して約1ヶ月の操業停止に追い込まれた。スズキが徹底したのは関与した従業員の解雇と労働組合との対話だ。労組は解雇者の復職や福利厚生の改善を激しく求めた。しかし、スズキは物価上昇に見合う賃上げ以外は「ごね得」と見なし、拒んだ。
 従業員は12年11月時点で3100人と約4分の3に減少。ただ、会社の方針を理解する人が残ったことや新車投入の効果で、工場は活気を取り戻した。1日の生産台数は約1900台と暴動前を1割ほど上回る。
 進出から30年で最悪の暴動だったが「労働問題に終わりはない。安易に妥協せず、緊張感を持って向き合う。これを繰り返して従業員と信頼関係を築くしかない」。鈴木は腹をくくる。
 第一生命経済研究所主任エコノミストの西浜徹(35)は「慎重すぎる企業はアジアで業績を伸ばせない」と指摘する。日本勢は成長の痛みを根気よく乗り越える気概を試される。』

これは、一面のコラム記事である。
『暴動の真相は分からない』と言っておきながら、『労組は解雇者の復職や福利厚生の改善を激しく求めた』とある。また、『復職や福利厚生の改善』と書いておきながら、その対処に『スズキは物価上昇に見合う賃上げ以外は「ごね得」と見なし、拒んだ』と書いてある。
誰がどう読んでも、暴動の真相は賃上げだし、日経新聞にとっての『福利厚生の改善』は『賃上げ』と同義語である。しかし、『復職や福利厚生の改善』を『賃上げ』と見なす日本人はおそらく1人もいないだろう。また、『慎重すぎる企業はアジアで業績を伸ばせない』とあるが、賃上げに毅然とした態度を取る事と『慎重すぎ』ない事が同じ意味なのか?慎重の意味が分かっているのか?日経新聞記者は日本語の勉強から始めるべきである。

日経新聞の頭の悪さ加減も大概だが、それは置いておくとして、『スズキは物価上昇に見合う賃上げ以外は「ごね得」と見なし、拒んだ』とある。この前後に、鈴木修氏の『毅然とした態度』や『安易に妥協せず』とあるから、これは彼の意見でもあるのだろう。しかし、物価上昇と賃上げは必ず連動しなければならないと誰が決めたのだ?そんな事は世界中の誰も言っていない。でたらめな持論を展開するな。こんなカス経営者は首にしろと言いたいのだが、名前からして創業家一族かもしれない。だとしたら、辞めさせられないから大人しくスズキは倒産するしかないだろう。スズキは、日本でも有数のバイクと軽自動車の企業だが、よくこんなので今までやってこれたものである。