◎ 2009年6月10日 (水) 白い人・黄色い人
遠藤周作 「白い人・黄色い人」 新潮文庫
p.177『母の宗教』
キリスト教は、父の宗教であり、母の宗教でもあるそうだ。
実存主義に神があるならば、人間を罰するだけの父の神でしかないと僕は思っている。
これまでの人生経験によってそう思うのである。
つまり、これまでの人生で許し(母)の神がいる可能性があると考えた事は全く無い。
僕は、母の神を認める実存主義者がいるとは思えない。
母の神は、仏教の「なんまいだ」とほとんど変わらない。
ニーチェなど、多くの実存主義者は「(父の)神は死んだ」と言う。
その可能性も否定できない。
カミュ 「シーシュポスの神話」 新潮文庫 p.97『いっさいは許されている』
あるいは、ドストエフスキーが言うように父の神から天罰を受けないように母の神がどんな罪でも許してしまうのかもしれない。
つまり、父の神は母の神にしっかりと尻に敷かれているのだ。
権力主義社会には、ありがちだ。
◎ 2009年6月11日 (木) 平等
「天は人の上に人を作らず」
人間社会は権力主義社会で、民主主義は民が民を支配する主義だ。
福沢諭吉は、実態を知らずに何を寝ぼけた事を言っているのか?
◎ 2009年6月13日 (土) 氷川清話
勝海舟 「氷川清話 付勝海舟伝」 角川文庫
戊辰戦争を避けられなかったから、勝海舟の功績はそれほどでもない。
つまり、彼が居ても居なくても時代の大勢は何も変わらないのだ。
彼は、幕府とも薩長とも仲が良く、幕府の内情も平気で薩長に流す完全な八方美人である。
しかし、彼は、血の気の多い会津藩士や新撰組などに殺されることなく77歳で病死している。
彼の最大の功績は殺されなかったことだろう。
この時代は、日本史上稀にみる憎悪の時代だったと思うからである。
彼の交渉によって、大勢にはあまり関係ないが、ましな状況になったことも多いようである。
彼の人間としての器がそれほど大きいとは思わないが、時代にぴったりの器だったようである。
彼よりも器の大きな人間がいたとしても、却って何も出来なかっただろう。
実存主義者なら状況に興ざめするところだが、彼には博愛の代わりに愛国心があった。
彼は、国内にしか適用されない狭量な実存主義者といえるかもしれない。
つまり、近視眼的な(器が小さい)のが、この時代では幸いしたのだ。
彼の理性は、国内にしか適用されないから、全体的に浅慮である。
この時代に偉人はいない。
居ても役に立たない。
◎ 2009年6月13日 (土) 主体性
勝海舟 「氷川清話 付勝海舟伝」 角川文庫
p.69 『時勢が人を作る例は、おれは確かにみたよ』
p.125 『時勢が人物を造る』
週刊朝日 2003/3/21 p.106
河合隼雄 「ココロの止まり木」「起こり得ないこと」
『札つきの非行少年などという子は、その子がまともになることは「起こりえない」と思われている。どうしてそんなに決めつけるのだろうか。それは、人間にとって、ものごとは決まっているほうが考えるのに都合がいいからである。AはAと決まっているほうが、ものごとは簡単に考えられる。』
社会状況や周囲の人間が、人格に影響を及ぼす事もあるかもしれない。
例えば、あるタレントの横暴な人格は、世間が彼は日常もそうあって欲しいと思っていた人格をそのタレントが日常でも演じていた可能性があるといったものだ。
他人がその横暴な性格を面白おかしく紹介するものだから、そういう性格になったら、晩年はその性格のせいで社会的に人格破綻者としての制裁を受け、とても理不尽な人生に思われる。
物事をすぐに何かのカテゴリーに分類してしまうような単純化の思考パターンは、人間および人間社会にとって大きな害があるらしい。
もちろん、影響を全く受けない人間もいるし、受けやすい人間もいるだろう。
周囲の意向に沿った方が物質的に豊かな人生を送れる場合もあるだろう。
しかし、どんなにろくでもない人生であっても、社会や世間から一切、影響を受けない人生と人格形成を人間は選択した方が良い。
実存主義者は、全員、何からも誰からも影響を受けない人々である。
人間がすぐに物事を分類したがるのは、何でも型にはまっていないと安心できないからだ。
簡単だからではない。
既存の物事が全て、型にはまっているから型にはまっていないものをみると不安になるのである。
そんな人間の心理を知っていて、自分は○○な人間なんだと教えてくれる人間もいるし、そういう人間は、ますます自分を型にはめたがるだろう。
フッサールの現象学は、何でもすぐに分類してしまう人間の悪癖を正そうとする考え方である。
そんなわけで、分類化の思考パターンは、できるだけなくす必要があるのだ。
複雑で間違いだらけの社会に、型にはまった何かがあるはずがないのだ。
ウーマン(メンズ)リブは、こうした考え方の一部である。
◎ 2009年6月15日 (月) 理性に対立するもの
不条理において理性に対立するのは、人間社会と個人は集団に対して敗北するという事実である。
それでも、あらゆる人間は実存主義者になることを目指すであろう。
理由は明白だ。
カミュ 「シーシュポスの神話」 新潮文庫 p.90『2000年後に起こるであろうことを考察する』
集団(権力)を支持するならば、アルマゲドン(世界革命)によって恐竜同様に人間は絶滅するからである。
アメリカは、建国時から権力の分散に最大限に努めてきた国だ。
現状は、権力の集中を回避するためのどんな努力も無駄であることを証明している。
それが、権力の性質なのだ。
金銭で内臓を買うなど人身売買よりも性質が悪い。
歴史群像1996/12月号 p.80 「ザ・パイレーツ」
護送船団方式は私りゃく船方式と名称を変更したほうが良いだろう。
アルマゲドンは、遠い未来の事ではない。
◎ 2009年6月16日 (火) 実存的無政府主義の治安
無政府主義にあだ討ちが起こりうるなら、裁判所と刑務所と自警団を作れば良い。
ただし、裁判所は法律なしである。
江戸時代みたいに、理性のみで判決を下すのだ。
裁判所と刑務所と警察に国家の後ろ楯は必要ない。
職業として認められれば問題ない。
◎ 2009年6月17日 (水) 松尾芭蕉
芥川龍之介「藪の中・将軍」 新潮文庫 「雑筆」 p.247 「理解」
勝海舟 「氷川清話 付勝海舟伝」 角川文庫 p.214 「俳諧のはなし」
◎ 2009年6月17日 (水) 中庸
芥川龍之介「或阿呆の一生・侏儒の言葉」角川文庫「侏儒の言葉」 p.204 「自由意志と宿命と」
◎ 2009年6月17日 (水) 生活豆知識
電気かみそりでヒゲを剃った後は、顔を洗う事。
切ったヒゲを付着したままにすると吹き出物の原因となるため。
目が疲れているときは、ふくらはぎをマッサージすること。
老廃物が溜まるらしい。
生物を育てるときは、空気に気をつけること。
水生動物は、水に溶け込んでいる酸素の量が足りないとすぐに死ぬ。
水草やエアポンプが必要である。
植物は、水分の多い土ではすぐに根腐れして枯れる。
水はけの良い土を使用したり、溝を作ったりする。
◎ 2009年6月17日 (水)アルゴノオト(3)
1976/8/5の日記を読む。
『何故人間は、自分の世界を大切にしている人をひきずり落とそうとするのだろうか?』
異なる思想の存在を許さないのは、権力の性質である。
人種や思想の違いを認め合う動きがあるそうだが、人間の意志で性質を克服するのは無理だろう。
他にも権力には実存と権力の中間にいる人間の存在も認めない性質がある。
こうした性質を意志で克服しようとするのは傲慢である。
あらゆる問題事を解決するには実存しかない。
1976/10/9の日記を読む。
『自分に対して真摯になること』
実存の条件の1つだ。
シンプルな人生を目指せば必然的にこうなるはずで、実存主義者は皆、『他にどう生きられもすまい』となる。
1976/10/11の日記を読む。
『ブラインドをあげてその方向へ飛んでいく』
『親切なふるまい』
太宰と宿の娘が、これに相当する。
親切は大抵、勘違いである。
1976/10/20の日記を読む。
『精神科へ行った』
これも太宰と同じである。
実存は精神病院に行っても治らない。
自意識を持つだけで治るのだ。